国士舘完成長老懇談会(1926年6月、於渋沢栄一邸)

1921(大正10)年に発足した国士舘維持委員会に集った各界の名士たちは、多方面にわたって国士舘を支援します。なかでも、創立期における最大の支援者たちが、一堂に会した写真が残っています。
1926年6月3日、渋沢栄一邸で開催された国士舘完成長老懇談会での記念の一枚です。写真左奥の建物は、北区飛鳥山公園内に現存する晩香盧(バンガロー)です。

前列に着座する4名を左から順に紹介します。

①頭山 満 1855-1944

現福岡県出身。西欧の大国に対抗したアジア主義を唱え、政治団体「玄洋社」を創設し、民間の立場から各方面に多大な影響を与えた。同郷の縁から柴田德次郎を助け、国士舘創立時より募金活動のほか多方面にわたり支援を行った。

②野田 卯太郎 1853-1927

現福岡県出身。号を大塊。逓信大臣や商工大臣などを歴任した政治家。柴田德次郎が、上京後に牛乳配達などで苦学した時から個人的に支援。国士舘創立後は、顧問として中学校や専門学校の設置に尽力。大講堂内には、自筆の蘭図が残る。

③渋沢 栄一 1840-1931

現埼玉県出身。日本資本主義の父といわれる実業家。第一国立銀行をはじめ多数の企業や学校の創設と発展に尽力。自邸での国士舘維持委員会の開催を期に参画し、多額の寄付に加えて、委員会の開催に邸宅を提供するなど国士舘を支えた。

④徳富 猪一郎(蘇峰) 1863-1957

現熊本県出身。号を蘇峰。『国民新聞』などを創刊したジャーナリスト、評論家。生涯にわたって執筆活動を行った。国士舘の創立時より講師を務め、歴史の講義を担当するなど、長く国士舘を支えた。作家の徳冨蘆花は実弟。

後列は左から、花田半助(財団法人国士舘理事)、渡辺海旭(同評議委員)、柴田德次郎(同理事)の各人です。